プロポーズは金曜日に

『すみません、麻里、さんですか?』

『はい、伊波くん、ですよね』


背格好を教えてもらっていたから、すぐに伊波くんだと分かった。


『はい、伊波です』と笑った伊波くんは、少し考えて。


『はじめまして、……じゃないですね。ええと』

『こんにちは、とか?』

『ああ、こんにちはですね。こんにちは』

『こんにちは。よろしくお願いします』

『よろしくお願いします。締まらなくて何だかすみません』

『いえいえ』


少しずつ笑い合うと、画面越しのやり取りが穏やかに蘇った。


文面を鑑みるに、とてもいい人そうで几帳面そうな伊波くんは、やっぱりとてもいい人で几帳面だった。


食事のマナーがしっかりしていて、焼き魚をとても綺麗な箸使いで食べた。

ゆったりした所作が綺麗で優雅で、よく似合っていた。


気遣いはちょっぴり不慣れで、たまに照れたように目元が赤くなった。視線を見るに、よく気がつくんだけど、タイミングを逃す感じ。

こなれた感じかな、と思っていたから、ちょっぴりおかしかった。