伊波くんはそれから、金曜日になると変になるようになった。

なって、しまった。


多分伊波くんは、私がああいうのに弱いと思ってやってるんだと思う。


確かに弱いよ。


甘い言葉は大好物だし、伊波くんかっこいいし、綺麗な顔が近づいてきたらそりゃあドキドキするさ。


でも、でもだよ。


あの棒読みと、強張った顔と、震える手と、終わった後の困ったような視線はいただけない。


何より、そんな明らかに頑張っている感じがダダもれのくせして、瞳にこもる熱は本物だからタチが悪い。


「麻里」と私の名前を呼ぶときと、同じ瞳をしているから。




ねえ、伊波くん。


私は伊波くんが好きだよ。

そのまんまの伊波くんが、好きなんだよ。