プロポーズは金曜日に

目を閉じると、美味しそうな匂いと、テレビをつけたらしく、ニュースが聞こえる。


穏やかな余韻に浸りながら、もし伊波くんと結婚したら、毎日こんな感じなんだろうな、と思った。


朝だよって起こしてもらえたり、朝食を作ったり、一緒にニュースを見たり。


誰かがそばにいるっていいなあ。


……ああ、そういえば。


さっき飲み物言ってなかったよね。コーヒー飲もうかな。


「伊波くんコーヒー飲むー? 私淹れるよー」

「飲みますー」

「はーい」

「お湯沸かしておきますねー」


こぽこぽこぽ、ヤカンに水を注ぐ音がする。


「ありがとー」


のんびりした返事を返して、寝る前にハンガーにかけておいた服に手早く着替えた。


冷えているはずの服が全部室温と同じで、唇が弧を描く。


起きてすぐにリビングの暖房をつけて、まとめてしばらく暖めておいてくれたんだろう。


伊波くんのこういうところが好きだ。


付き合っているからと言って、私が着替えるときに部屋にいたりしない。

「暖房つけてたから暖かいですよ。リビングで着替えます?」とは言わない。


距離感を大事にする気遣いが心地よかった。