プロポーズは金曜日に

お風呂から上がると、一時を過ぎていた。


……ううう、通りで眠いわけだよ。明日起きられるといいけど。ていうか髪乾かすのめんどくさい。


もはや声を出せるほどの元気すらなくて、心の中でぶつぶつ言う。


洗面所の扉をぴっちり閉めて音漏れを最小限にする。


ドライヤーで髪を乾かした後は肌のお手入れだ。簡単にでもお手入れしないと詰む。


三十路の肌は十代二十代の肌とは違うのだ。


私は特に荒れやすいタチなので、適当に扱ったら後々自分が泣く羽目になる。


本当はメイクしないのが一番いいんだけどね。しないのはちょっと社会人としてね、駄目じゃないかなって。

……社会人めんどくさい。ねむい。


盛大に舟を漕ぎながら何とか終え、消灯して寝室に向かった。


「あれ?」


閉まった扉と床の隙間から、明かりがもれている。


伊波くんは普段、真っ暗にして寝る人なのに。電気、つけっぱなしで寝ちゃったのかな。


そのくらい眠かった? もしかして、私のためにつけといてくれたのかな。……伊波くんならありそう。


扉を開けて、まぶしさにぎょっとする。いきなり暗いところから明るいところに移ったために、視界がぼやけてしまった。


目が慣れてから、伊波くん、と小声で呼んでみた。


「……伊波くん、起きてる?」


もしかして眠れていないんじゃないかとか、もしかして起きてるのかなとか、いろいろ心配になって思わずこそこそ小声で呼びかけてみたけど、返事がない。


そうっと様子を伺うと、伊波くんは肩を丸めて小さな寝息を立てていた。