プロポーズは金曜日に

「いろいろありがとね。伊波くんお先に寝てて……」


まぶたを擦りながら声をかけると、伊波くんがちょうどリビングの電気を消したところだった。


「はい。じゃあお先に。明日、というかもう今日ですけど、何時に起きます?」


あ、そうだ、何時に起きるか考えてなかった。


本当に頭が回っていない。危なかった。


ええと、とゆっくり指折り数えて予定を洗う。


こんなに眠い状態での確認は絶対信用できないから、起きたら一応もう一回資料の確認するでしょ。

ご飯作るでしょ。食べるでしょ。

歯磨きして顔洗って、着替えて、あとお化粧するでしょ。


「んー……六時かなあ」

「朝食は僕が作りますから、その間は寝てても大丈夫ですよ。何時に起きます?」

「じゃあ六時十五分……ごめん、起きなかったら起こしてくれる?」

「はい。タイマーもセットしておきますね」

「うん」


顎を落とすみたいにして頷いた。


ちょっと甘えすぎたから、今度、伊波くんお気に入りのパン屋さんに行って、季節のパンでも買って差し入れしよう。


今だとなんだろ。いちご? いちごパンって一年中ある気がするから違うかも。


ふわふわ考える私を、伊波くんがそっと呼んだ。


「麻里」


お疲れ様です、と軽く抱きしめられる。手早く簡単に。


「おやすみなさい」

「うん。おやすみなさい」

「お風呂で寝ちゃ駄目ですよ」

「がんばる」

「頑張るんですか」


ころころと、喉の奥で笑い。


「風邪引きますから、本当に寝ちゃ駄目ですよ」

「うん」

「おやすみなさい、麻里」

「おやすみ、伊波くん」


変わらず優しく微笑んだ伊波くんの体温は、眠気からか、随分と高かった。