伊波くんは優しくて穏やかな、私を大事にしてくれる人だ。


だから、幸せになれると確信している。結婚したいと思っている。


伊波くんがそういう人だから、私は、伊波くんが変になっても諍わずに済んでいる。


金曜日の瞳にこもる静かな熱量に、寂しさより愛しさが優るのは、伊波くんだからだ。


あのね、私ね。伊波くんとなら、っていつだって思ってる。


伊波くんとの結婚なら、私はちゃんと幸せになれるって思ってる。


そうずっとずっと思っているのに、なかなか上手くいかない。


……好きと言って欲しかった、なんて、伊波くん可愛い。


伊波くんは優しくて穏やかで、私を大事にしてくれる、ちょっぴり可愛い人だ。


「麻里」


伊波くんがそうっと私の名前を呼んだ。


何だか嬉しくなって、好きだよをたくさんたくさん伝えたら、好きですよと伊波くんもたくさんたくさん返したから、その夜遅く、好きだよがゲシュタルト崩壊した。


「伊波くん」

「麻里」


何度目か分からないくらい、お互いの名前を呼ぶ。


「うん」

「はい」


何度目か分からない返事をする。


「好きだよ」

「好きですよ」


重なった余韻に、幸せだなあと思った。


私たちの間の幸せは、これからもこういう形であればいいなあと、思った。