初めてやらかしたときは、必死で謝って、絶対嫌われた、どうしようどうしようと焦って、その寛大さに驚いた。

けれど、二度目はないのだろうと思えば肩が強張った。


次にやらかしたときは、いよいよ駄目だと思った。


三回目にやらかしたときは、仏の顔も三度まで、と覚悟した。


四度目は私ではなくて伊波くんの後輩さんだったけど、伊波くんは電話口でも対面でも終始責めなかった。


手伝いますよ、と。

大丈夫、君のせいじゃないですから、と。


ただ笑って、あの穏やかな顔でゆっくり「大丈夫ですよ」と言うのだ。


だいじょうぶ。

だいじょうぶ。

大丈夫。


まるで魔法の言葉みたいに、伊波くんがそう言ってくれると安心する。本当に大丈夫になる。


大丈夫ですよ、と笑う彼を何度か見るうちに、この人すごいな、と思った。


いい人だいい人だとは感じていたけど、これはすごい。


だって、誰も責めないだなんて、そんなの難しすぎるじゃないか。