何も考えず仄矢について行くと、赤いふかふかの絨毯を踏んでいた。馴れない感触に驚いて床を見た。三途の川の砂利とは大違いだ。


「昼食の用意はもう出来ていますよ」


「ありがとうございます」


大きな長方形の机にはピカピカのフォークとナイフ、そして綺麗な赤い木の箸が置かれている。
野菜が多めの料理で、体に良さそうだ。三途の川では色々と疲れたから、ゆっくり食べよう。


「いただきます」


手を合わせた後、ミルフィさんも一緒に食べる。
濃いめの味付けで、飽きない味だ。苦手な水菜も食べることができた。
鮭はやっぱりご飯にあう。大好きな組み合わせを楽しんでいた。


「桃子ちゃんは美味しそうに食べますね」


「はい!とても美味しいので……」


「喜んでいただけてよかったです。前日から準備をした甲斐があったわ……」


そう言って、ミルフィさんは微笑んだ。
あれ?ミルフィさんの箸の持ち方、間違ってる……。ミルフィさん、礼儀正しい感じなのに……いちいち指摘するのもあれだし、ここはスルーしよう。


「ごちそうさまでした」


ふぅ……いっぱい食べた……。
椅子を元に戻し、膨らんだお腹をさする。


「では、捜索といきましょうか」


水晶玉とカメラを取り出した仄矢は外に向かう。
ここは冥府……何が起きてもおかしくない。お腹いっぱいでぼーっとはしていられない。気を引き締めて捜索しよう!