それで、両親はいつも身体を泥まみれにして帰ってくるから、僕も泥まみれになるまで遊んでやろう!って思ったわけ。

 前日に雨が降っていたこともあって湿っていた砂場で、思い切りぐちゃぐちゃにかき回したり、かき集めてお山にしたり。独特で幻想的なお城が出来た時は、我ながらちょっぴり才能を感じてみたりしてね。

 やっぱり、雨を含んだ砂はちょっと臭っていてさ、なんていうんだろう……湿った臭い? あー、これぞまさしく雨の臭い!っていうやつね。

 気が付けば望んだ通り身体が泥まみれになっていて、その雨を含んだ砂の臭いも身体に染み込んじゃっていてさ、家に帰ると、先に帰っていた両親はカンカンに怒っていた。


「なんなの?! その格好は?! 洗濯するからその服をみんな脱いで、早くシャワーを浴びてきなさい!」

「だいたい、朝早くからこんな時間まで一体どこで何をしていたんだ?! 10時だぞ?! 常識をわきまえなさい!」


 ……確か、そんなふうに怒鳴っていたかな。

 10時まで砂場で遊んでいたことはさすがにちょっと反省しているけれど、いつも家を留守にしているのはそっちなのにね。