(人間が目力で穴をあけられるってどんな魔法かしら。それに怒っていたのも今は忘れていたし)
彼は竜人で憎むべき相手、そんな風に思っているはずなのに面白い人、とも感じる。二つの感情が同居している。何とも不思議な感覚だった。
「人間はそんな恐ろしい生物ではありませんことよ? それに私、怒ることも忘れておりましたもの」
ころころとフェニルが笑えばあからさまに安堵する男。
「そうか」
「ええ」
「これからよろしく頼む。フェニル」
自分の名を呼ばれ、我知らずフェニルは赤面した。赤面する理由などないけれど赤面してしまったのは、男が自分の名を知っていて突然口にしたから、とかなり無理のある理由付けをして納得する。
彼は竜人で憎むべき相手、そんな風に思っているはずなのに面白い人、とも感じる。二つの感情が同居している。何とも不思議な感覚だった。
「人間はそんな恐ろしい生物ではありませんことよ? それに私、怒ることも忘れておりましたもの」
ころころとフェニルが笑えばあからさまに安堵する男。
「そうか」
「ええ」
「これからよろしく頼む。フェニル」
自分の名を呼ばれ、我知らずフェニルは赤面した。赤面する理由などないけれど赤面してしまったのは、男が自分の名を知っていて突然口にしたから、とかなり無理のある理由付けをして納得する。

