「そ、そうか……」
驚いたのかどこか挙動不審になる男。竜人の長、なんて言ってもこれくらいで驚いているようじゃ大したことないんですのね、と口に出すことはできないので心の中で毒づく。
近寄ると男の顔がはっきりと見えるようになってくる。そして『あら?』とフェニルは首をかしげた。
(あら、あらあらあら?)
玉座の男は息を呑むほどの美形だったのだ。
王太子と比べて? 比べられるはずもない。
王太子の美は美しいとはいえそれでも人の『美』だった。けれど男の美は神から愛された、という言葉が似合う『美』なのである。
「そ……その……何か怒っているのか?」
思わずじぃっと見つめていると、男が怖ず怖ずと言葉を発する。
「何故ですの?」
「いや、その……人間は目力で生物に穴を開けると聞いていたものだからな……。俺の顔に穴をあけようとしているのか、と……。
か、勝手に呼び出してしまって怒っているのではないかと考えたのだ」
その言葉に我にもなく吹き出してしまった。
驚いたのかどこか挙動不審になる男。竜人の長、なんて言ってもこれくらいで驚いているようじゃ大したことないんですのね、と口に出すことはできないので心の中で毒づく。
近寄ると男の顔がはっきりと見えるようになってくる。そして『あら?』とフェニルは首をかしげた。
(あら、あらあらあら?)
玉座の男は息を呑むほどの美形だったのだ。
王太子と比べて? 比べられるはずもない。
王太子の美は美しいとはいえそれでも人の『美』だった。けれど男の美は神から愛された、という言葉が似合う『美』なのである。
「そ……その……何か怒っているのか?」
思わずじぃっと見つめていると、男が怖ず怖ずと言葉を発する。
「何故ですの?」
「いや、その……人間は目力で生物に穴を開けると聞いていたものだからな……。俺の顔に穴をあけようとしているのか、と……。
か、勝手に呼び出してしまって怒っているのではないかと考えたのだ」
その言葉に我にもなく吹き出してしまった。

