「……私の名。覚えていらっしゃったのですね」
「ああ。……至当だろ? 俺の妻となる人間だ。それに……絵姿がとても美しかったからな。忘れられるはずがない」
美しい、という台詞に覚えず熱くなった顔を誤魔化そうと「絵姿は美しかったのですね」と皮肉を言ったが「いや、実物はもっと美しかった」という余裕な答えにさらに顔が火照る。
「ありがとうございます、ジューク」
返す言葉が見つからず、もごもごとしつつ礼を述べる。つい名前まで添えてしまったので、あんたの名前なんて覚える気ないのよ、とも言えなくなってしまった。
「俺の名前も、覚えていてくれたのだな」
「当たり前でしょう。人間は頭がよいのです」
嬉しそうなジュークに、特別だから覚えていたわけじゃない、と弁解するが全く通じない。それどころか「人間は素晴らしい知性を持っているのだな」と感心する始末。
これに対しては後ろの執事(と思われる男)が見かねたか、ジュークに何やら耳打ちした。フェニルの言ったことを全て鵜呑みにするなとでも忠告しているのだろう。
ジュークの幼い子供のような様子に苦笑してからフェニルは自分が相当気を抜いていたことに気づいた。
「ああ。……至当だろ? 俺の妻となる人間だ。それに……絵姿がとても美しかったからな。忘れられるはずがない」
美しい、という台詞に覚えず熱くなった顔を誤魔化そうと「絵姿は美しかったのですね」と皮肉を言ったが「いや、実物はもっと美しかった」という余裕な答えにさらに顔が火照る。
「ありがとうございます、ジューク」
返す言葉が見つからず、もごもごとしつつ礼を述べる。つい名前まで添えてしまったので、あんたの名前なんて覚える気ないのよ、とも言えなくなってしまった。
「俺の名前も、覚えていてくれたのだな」
「当たり前でしょう。人間は頭がよいのです」
嬉しそうなジュークに、特別だから覚えていたわけじゃない、と弁解するが全く通じない。それどころか「人間は素晴らしい知性を持っているのだな」と感心する始末。
これに対しては後ろの執事(と思われる男)が見かねたか、ジュークに何やら耳打ちした。フェニルの言ったことを全て鵜呑みにするなとでも忠告しているのだろう。
ジュークの幼い子供のような様子に苦笑してからフェニルは自分が相当気を抜いていたことに気づいた。

