そして私は、生きるために、
この世になにか残すために、全て御影からなにもかも教わった。
それが時に、旅の楽しさ。料理の難しさ。
そして、決して人に心を許さない強い精神。
御影曰く、人間に心を許すのろくな事にならない。裏切られるのがオチだ。
確かに私は両親といた時よりも人生を充実させていた。
なにもなかった日常。ぽっかり空いた心が嘘のように毎日が刺激的だった。
ようやく、自分が見つかった気がした。
親不孝者だと、思われてもいい。
私には今の生活が抜け出せない理由が一つだけあった。
それはもう、心がガシリと掴まれたように。
そして鎖で固定されたように。
この行為だけは、一生抜け出せないだろう。
そう思った。