「しかたないのは分かるよ。分かるけどさぁ!」
「自分より仕事を優先したのが嫌だって?」
「そういうんじゃない」
「じゃあ何よ」

仕事が忙しいのは良いことだと思う。
少なくとも、暇で暇で仕方がないと言うことよりは。
大人だし?仕事と自分とどっちが大事だ何て言うつもりは毛頭ない。
働かなきゃ生きていけないのがこの世の仕組みだ。
働かずに生きていけるなんてこと、どこの世界のお姫様だよって話で。
お姫様だって実はご公務って形で働いてるわけだしな。
それはさておき、それに難癖をつけるつもりはない。
けど。

「……私への扱いが雑すぎるのはいかがなものか!」
「同じじゃん」
「違うよ、違う!仕事大切なのは分かるし、優先してくれて構わないよ。そこに対しての不満はない!」

きっぱりと言う私に聡子は眉間に皺が寄る。
全くよく分からない、といった具合に。

「あのね?普通さ、彼女の誕生日だクリスマスだってなったらイベントじゃない?」
「世間一般にはそうかもね?でもそれが当てはまらないんでしょ」
「メッセージ送ってスタンプひとつですまされる私って、あの人にとって何よ?」

私はスマホの画面を表示させて聡子に向ける。

『おはよう!今日も頑張ってね』

私からのトークメッセージに“OK”の可愛いげのないスタンプ。

『クリスマスも仕事?体壊さないようにね』

暗に“会えないかな?”というお伺いに取れなくもない程度にクリスマスというワードを入れてみても“OK”の可愛いげのないスタンプ。

日付は今日、朝のものでスクロールさせるまでもなく会話は終了している。