聖なる夜にくちづけを。


コートにストールを靡かせて、寒空の下を急ぎ足で歩く。
待ち合わせ場所へと急ぎつつ、途中のお花屋さんで予約しておいたブーケを受けとる。
グリーンも映えるナチュラルな色合いで、とても可愛いブーケは大人の男性が受けとる側として持つところを想像すると少し面白い。
お花屋さんにリクエストしておいたお花は二種類。
クリスマスローズとスイートピー。
あとはお任せしますと伝えただけだけれど、お任せしてよかったと思える、むしろ自分がほしくなっちゃうくらいのブーケだった。
お花にも、花言葉にも詳しくはないけれどせっかく贈るならと調べたら自分の心境にぴったりだったのがこの花だったのだ。
贈る相手がそれを知っていようが知っていまいが関わらず、私が想いを込めることに意義がある。

お花を受け取ったその足で、待ち合わせ場所へと足を向かわせ視線の先に彼を捉えたと思ったら急に緊張してきた。
吟味を重ねたクリスマスプレゼントは、紙袋の中にある。
この緊張を食事が終わるまでなんて到底耐えられない。
あぁ、もう。

「裕一くん!」

人通りの中、彼の名を呼ぶ。
人々は驚きながら私を見るし、呼ばれた人をみてまた驚いている。
吹き抜けに大きく飾られたツリーよりも輝く笑顔で裕一くんは私を見つけると小走りで駆け寄ってくる。
その彼に花束を差し出して、意を決して想いを言葉にかえた。

「裕一君が好きで、ずっと一緒に居たいから。私と結婚してください」

プロポーズの瞬間は、緊張が突き抜けて周りの音さえも聞こえないくらいだった。
そんな私の現実を思い出させたのは裕一くんの不機嫌な顔。
心臓が破れてしまうんじゃないかと思うくらい、痛い。