聖なる夜にくちづけを。


時は流れ、25日17時。
私はそわそわしながら仕事を終わらせようとパソコンを叩いていた。
後輩たちが持ってくる書類に目を通し、ざくざくと仕事を終わらせていく。
暦上、今年は日曜日が祝日だったために土日からのクリスマスイブは連休。
心なしか疲れた顔をしているパパさん社員やちょっと値が張りそうな休み前までは見なかったようなネックレスをしている後輩女子社員。
みんなそれぞれにクリスマスを終えたようだ。
だけどごめん、私は今日がクリスマス本番なのよ。
仕事納めまではもう少しだけれど、この時期は仕事が落ち着けば大掃除があるしで中々に忙しい。
だから多分、私が定時を少し回ったくらいの時間でガタン、と席を立つのがみんなは、にわかに信じられなかったのだろう。
すごく驚いた顔をして見てくる。
いや、見られても帰るけどね?

「先輩?帰るんですか?」

ポカン、とした顔で隣の席の後輩が聞いてくる。
そりゃここ数年、クリスマスなんてお構いなしで残業してたらそういう反応だよね、と思いながらゆっくり頷く。
多少の反感を買うかもしれないとは思いながら。
後輩は何を思ったか、しっかり頷き返して敬礼した。

「お疲れさまです!仕事のことなら大丈夫ですので、気を付けて急いで帰ってください!」

何も言わずとも、色んなことを察して受け止め送り出してくれるらしい。
なんて心強い後輩だろう。

「ありがと!お疲れさま、お先に失礼します」

後輩にお礼と、フロアに声をかけてロッカールームへと急ぐ。
お化粧を直す時間はあるだろうか?
時計をちらりと見ると、そんなにたっぷりと時間があるわけではない。
少しだけ直して急がないと。
何より大切なのは、多分、会いたいという気持ちだ。