『25日に午後半休貰った』
付き合って3年、初めて彼の口からそんなワードが出た。
驚きと嬉しさが頭を占拠してしばらく混乱。
だけど、現状打破をするチャンスは多分ここだろうと分かっている。
若い子には、必死だねって言われそうだけど、必死で何が悪いのよ、と今は思える。
人と人とが付き合っていくのなら、必死にならなきゃいけない瞬間があることを年齢なりに学んできたのだ。
この歳になると素直になれない?
さっきの自分の言葉を、自分が塗り替える。
この歳だからこそ、素直にならなきゃ。
『25日、私は仕事なんだ。』
普段の私なら多分、続けて『ここのところお休みなかったからゆっくりできるね』って返すんだろう。
だけど続く言葉は、もう用意してある。
『だから、仕事が終わってから会いたい。会える?』
ドキドキしながら返信を待つと、パッと既読の表示がついたあとすぐに『当たり前』と返事が来た。
そっか、当たり前なんだ。
そんなことがすごく嬉しい。
素直になっても良いんだと思わせてくれるのは彼のあの笑顔を知っているからかもしれない。
彼の表情はとても素直で、作り笑いと本当の笑顔が私にはよく分かる。
『嬉しい。楽しみにしてるね。』
返したメッセージに既読はつかなかったけれど、そこに不安は感じない。
きっと仕事の合間をみてメッセージをくれただけなんだろうから。
スマホをベッドの脇に追いやり、明かりを落とすと静かに目を閉じる。
32歳の幕開けは多少心がひりついたものだったけれど、32歳と1日を過ぎた今はとても穏やか。
25日までにサプライズの用意できるかな?なんて思いながら眠りについた。



