「…雨」


空から滴るいくつもの雫を見て、学校から出ようとしていたわたしは足を止めた。

ついさっきまでは晴れてたのに、と。

ダメ元で鞄を漁ってみるも、やっぱり傘なんて入っているはずもなく。


(…、どうしよ)


降り止む気配のない空を見上げて小さくため息をついた。


忘れ物を取りに戻った帰りだから友達はもうとっくに帰っていて。

わたしの家では迎えなんて望めないし、お金はお昼ご飯で使ってしまったからタクシーも呼べない。


「…、」


人生思い切りが必要だ、うん。
どうしようもないときは諦めも肝心。

ブレザーを頭に被って、鞄を胸に抱え込む。



そして。