そして、ほとんどの家庭で猫を飼うようになりました。


それまでは、この部落の名前は、奥谷部落と呼ばれていたのですが、いつのまにか、みんなが猫谷部落と呼ぶようになりました。


「おーい、居るかのぉ」


大声で呼びかけながら、谷に住む漁師が山の斜面で茶畑を営んでいる家に向かって歩いて来ます。


手には今朝、獲れたばかりの魚を、ざるに入れて持っています。


家の近くの茶畑から、農家のお父さんが


「ここじゃ、ここで居るぞ~」


大きな声で、漁師さんに答えます。