甘々でふわふわじゃない彼


開けた窓から入ってきた黄色い歓声に窓の外を見ると、隣のクラスが体育の授業をしている。



サッカーか…


流れる汗。
舞い上がる砂埃。
授業にムキになる男子諸君。



…朝イチで運動するって絶対に嫌だな、一日中汗くさそうだし、疲れそう。


楽しそうなプレーと、応援する歓声が私の意見と真っ向から対立してきたのでマイノリティーは黙ることにした。



中でも一際黄色い声援を受け、目立つ彼がコートの中を縦横無尽に走っている。



この距離からでも見間違えるはずのない彼は


金箱勇魚(かねばこいさな)


という。

私の幼なじみで悪友。

家ぐるみの付き合いだからもう何年だろ…



勇魚も綿貫くんに負けず劣らずたいそうモテるらしい。
女子の人気を二分してるとかしていないとか。


そんなにいいか?ただのサッカーバカにしか見えないけど。


確かに背は高いし、整っている顔だけどこれと言った感想はなし。


家族とか身内の自慢ってそこまでしたいものじゃない。

それと似たようなもの。