甘々でふわふわじゃない彼



「ま、行けばわかるから!昨日だってひおりん図書館にいたじゃん。ね、勇魚」


「おう」


…昨日ってことは、乗り物図鑑か!



「声かけてよ」


「なんかコソコソしてたから声かけられなかった」


「…だって、乗り物図鑑ってこの歳だと恥ずかしい」


「どうせ、伊織のだろ」


「当たり前でしょ」


「ん?俺、最近乗り物図鑑の貸出手続きしたよ?」


「え、嘘っ!誰?うめちゃん?」


「や、誰だよ梅ちゃん」



こんなところにうめちゃんの有力情報があったなんて。

私を半日悩ませた、魅惑のうめちゃんへの手がかりを宗護が握ってるとは。


「…放課後から6時までだよ、そんなに長くないからさ」


「…えぇ」



微笑む彼は、きっと私がなんと言っても教えるつもりはないみたい。