それが彼。綿貫くんだ。 起きている人も対して真剣に聞いていないのに彼だけは熱心に耳を傾けている。 いつもふわふわと綿菓子が溶けそうな顔で笑っている彼が口を一文字に結び、黒板の前に立つ先生を睨みつけている。 表情はないのに、目が強い意思をもって爛々と不機嫌そうに輝いている。 黒曜石をはめ込んだ瞳が光を受けて潤んで涙をためているのかとも思った。 というか、あんなに怖い顔初めて見た。