「そんな……」


据わった目で私に睨みつける時雨を見つめながら、涙を浮かべる。


しかし、彼の眉間は深まるばかり。


「さっさと失せろよ!」


時雨の怒号が倉庫に響き渡った。


「あなたが存在するだけで、みちるは傷付いていることが分からないのですか?」

「お前って、やっぱり薄汚い女共と同類だな」

「椿鬼の格が下がる」


それに便乗するように、真琴と幹部の双子矢田壮一(やだ そういち)と壮二(そうじ)が私に暴言を浴びせる。


「わかった……消えるわ」


私は彼らに背を向けて、倉庫を出て行った。


「いっそ死んでしまえ」

「椿鬼の恥晒し! 汚点!」

「また現れたらしばくぞ!」


下っ端の者達からの数多の暴言を背に浴びて。