「………影って、光が遮られてできるやつ?」
「少し違いますね。影はもう一人の自分なんです」
なんだか哲学的なことを真面目な顔をして言い出した彼を私は笑った。
「もう一人の自分? じゃあ、ケイも二人いるわけ?」
「まあ、そうなりますね」
平然と答える彼に笑えない私。
「………二人いたら困るんですけど」
自分が二人いると想像しただけで、殺したくなる。
私の暗い瞳に気がついたのか、彼は静かに同意しつつ付け加えた。
「わたくしも同じ自分がいたらそれはきついですが、もう一人の自分は自分と似ても似つかないような、正反対の性格の持ち主ですよ」
「じゃあ、もう一人の自分でもなんでもないじゃない」
そう噛みつく私に彼はまた意味深に言う。
「___会えば分かりますよ。さぁ、先に進みましょう」
彼にそう言われた私は納得いかなかったが、仕方なく前に向き直った。
そして目の前を阻んでいる木々に気づいた___。
知らぬ間に呼吸が早くなる。
苦しい。
なんなのっ………。
フラッシュバックするあの日の光景に私は息を飲んだ。
あぁ、だからか。
「レヴィア様っ___⁉」
彼の声が遠い。
私はそのまま意識を手離した。



