彼の言葉に目を輝かせて、次の言葉を待たずに言う。
「魔法教えてくれるの?」
勢いに押されて、彼が私を見下ろして困ったように答えた。
「………まあ、そのうちに」
「えっ、じゃあどういうこと?」
彼が困っていることも気にせず、矢継ぎ早に質問する私に嫌な顔ひとつしない。
「魔法を扱うためにはまず、その反動に耐えられるようにならなければいけません」
その言葉は簡潔であったが理解に苦しむ。だって、彼は毎度毎度私と軽く飛ぶではないか。
そんな彼に反動なんて全くあるようにみえない。
「疑ってますか?」
「あっ、いやそんなこと___まあ、そうね」
否定しかけてやめた。こんなこと、取り繕うこともない。
「あまりにも貴方が魔法を簡単に使って見せるから」
「そうですか?」
小首をかしげ、彼は続けた。
「まあ、その人の能力で魔法の程度も決まりますから、無茶をすれば反動は大きくなります。最悪の場合、死ぬこともあり得るんですよ?」
「………私、大丈夫かな」
彼の言葉に思わず私は呟いた。
でも、そんなことを言いつつ本当はずっと前から死ぬなんて怖くない。
むしろ、願ったり叶ったりだったりする。
心配だったのはもう一度叶わぬ夢の続きを見れるか否か。
こちらを見た彼の優しい瞳に出会って、私は後ろめたい気持ちになったが、それでも私が彼にこのことを伝えることはない。
言えるはずがない。
この優しい瞳に嘘つきな私を映すわけがなかった。
この感情は___とても面倒だ。
「そのために魔法を扱う人には影が必要不可欠なんです」
「影?」
予想もつかない展開に私は道が少し先で途絶えて、森のなかに入ろうとしていることに気がつかなかった。



