「___分かりました」
なにが、なんて思う暇もなかった。
彼の手が再び光ったから。
その魔力に今度はどれくらい痛いかと構えて目を瞑る。
だがいつまでも痛みが襲ってこない。
代わりに私にかかった重みがふわりと消えた。
「えっ」
反射的に目を開けた私は彼が天蓋の破けたレースを修復してることに気がついた。
「また吹き飛ばされたいなら言って下さい?」
全くこちらと視線を合わせず、そう言ってのけた彼。
「別に」
そう言いつつ、彼の魔法に心奪われていた。細かい糸が繋ぎ直されていく。
もし魔法でなんでも修復できるのなら、私は叶わないと思った夢をもう一度自分で見ることができるのだろうか。
「ねぇ」
「なんです? もうその気になったんですか?」
「………なにを?」
一応聞いてあげると案の定こう答えが返る。
「吹き飛ばされてその続きを」
「………だから、からかわないで」
その瞳はいつも通り私を面白がっていた。そのことにほっとすると同時に芽生える傷む感情を無視して、彼に訊ねた。
「聞きたいことがあるんだけど」
「なんですか?」
「___私も魔法使えるかな?」
今度も完全に馬鹿にされると思っていた。
だがこちらと目を合わせない彼は無感情な声で答える。
「使えますよ。それも鍛えれば誰よりも強い」
その自信はどこから?
そう考えた時ふと思った。
それも私が非女の娘だからなの___?



