ふと、彼は月を仰いだ。
「___そんなに聞きたいなら教えてやるよ」
その自嘲的な声に、私の手は震えた。
「後悔すんなよ」
そう言った彼から光が発せられたかと思ったら、私はベットまで吹き飛ばされていた。
天蓋つきベットのレースが裂ける音。
「………痛いか?」
彼が近づいてくる。
怖くない、怖くない、怖くない。
少しでもここで臆したら、___偽悪的な彼だから終わってしまう。
「別に、この程度痛くもかゆくもないわ」
「そうか」
ベットのきしむ音。
彼が私に覆い被さる。
「なら、これはどうだ?」
私の首にひんやりとした手がのびてきた。
そのまま、締め付ける。
苦しい。
けど、それでも目は彼を見据えた。
私以上に彼が苦しげな瞳で見下ろしていたから。
「………ケイっ」
絞り出したその言葉にぴくりと反応したのがわかった。
「好き」



