「僕の方がきっと先にいるよ?」
私の言葉に微笑む王子。
「えー? 私の方が楽しみにしてるから、先に待ってるよ」
それは言葉が足りないだけの本心。
嘘ではない。
何も知らずに王子が嬉しそうにそれを否定した。
「僕だよ」
「私」
「僕」
そのまで言われてどちらからともなく吹き出した。
ひとしきり笑った私が悪戯っぽく聞く。
「賭けでもする?」
「しないよ」
そこは二人の世界。
だが
「わたくしも賭けてよろしいですか?」
存在を無視しようとしたら完全にそうなっていた人物の声に、それは壊された。
「は?」
私はそう言ってきたケイの意図が全く分からなかった。
「わたくしはレヴィア様が来ないに賭けることにしますね」
「えっ………」
王子があっけにとられてケイを見つめた。私も同じ顔をしていたと思う。
「ちょっと、何言ってるの? あんなの冗談に決まってるでしょ___」
「何を賭けますか?」
私の言葉を途中で遮るケイが王子にそう言った。
「なにがいいですかね………あー、王子の欲しいものがいいですか?」
「ぼっ僕の欲しいもの?」
「そうです」
そして無感情を精一杯に演じた怒っているケイが反撃とばかりに提案する。
「そうだ、レヴィア様とのキスなんていかがですか?」



