“だって、本人同士の問題じゃない? 私は別にいいわけど、貴方はどうなの?”

王子をまっすぐ見つける。

ケイなんかどうでもいい。そう心の中で繰り返して、王子の瞳の中を意識しないようにした。


“我が息子は既に同意している”

その国王陛下の言葉は私をさらにどん底へと突き落とした。

私以外の誰もがこの婚約に同意している。

なんだか笑える。自分が馬鹿みたい。


「だから、私はこの子に聞いてるの。国王だかなんだか知らないけど、私はもう誰かに媚びたりしないし、本気になったりしないわ。………それでもいい?」


これは虚勢を張った私の言葉。

でも本当は自分に言い聞かせるためのものでもあった。

しかし何も答えない王子の迷いを感じてそれに漬け込もうという考えが生まれた。


「おすまし人形」


完全に八つ当たりのようなこの言葉。


でも本当のところ意地でもこの婚約はしない、そう思った。

どうでもいいけど、気に入らないから。