今までのショウを見ているからか、なんだか素直に言えなかった。
本当はこんなことが言いたかったわけじゃない。
思ったのは、なんでもいいから元気でいて欲しいってことで。
似合うとか似合わないとかじゃなくて、元気だしてって言いたかった。
「………僕に似合うってなに?」
静かにショウは私に問う。
その台詞はまるで私を責めているようだが、私は責められているような気はしなかった。
でも、こんなときはなんて言ってあげればいいんだろう?
王子の時とは違う。
王子は素直だったから、私の言葉も受け入れてくれたけど、ショウはそんな一筋縄ではいかない。
今の私にショウに届く言葉はない。
ならば、もう諦めよう。
そうだ。
諦めて、今日ショウに出会って感じたことを言葉にしよう。
「………なんかごめん。そう、ね。うまく言えないんだけど。えっと、少し私の話もしていい?」
「どうぞ?」
「私ね、学校が___嫌いなの」
「へー。でも、レヴィは知らないんじゃない?」
ショウは私が決心して喋りだしたのをいきなり遮った。
「ここは唯一の国公立学校だよ?この学校に入った瞬間、将来は約束されたも同然なんだ。しかも入ってくる人は金持ちがほとんど。………でも、貧しくても入りたい奴はたくさんいる」
乱雑に吐き出される言葉に見え隠れする感情。
「学校嫌いとか、贅沢すぎるんじゃない?」
そう言うショウの瞳は漆黒の闇。
それを覗いたら最後、のみ込まれてしまう。
だから私は目を伏せて言った。
「うん、___そうかもしれない。でも、それでもね、私は学校が嫌い」
その言葉にショウの方眉がつりあがる。でも、今度は私を遮ることはしなかった。
そこまで言うならと、多少は聞く気になったのかもしれない。
「でもね、今日ショウのおかげで、考えが少しだけ変わったの」



