「何言ってるの、頭おかしいんじゃない?みたいな顔しないでよー」
「違うの?」
私の冷たい目線にショウは嬉しそうに笑う。
「あー、僕がただ遊びに来たって思ってる?」
「実際そうでしょ。ていうか、………女装趣味なの?」
「趣味?いや、特技だよ」
そう言った矢先、なにやらショウがぼやけ始めた。
「なっショウ?大丈夫?」
慌てて駆け寄るが、またショウの形が作られていく。
足は内股じゃないし、髪は元の長さに戻ってシュシュが床に落ちた。
漆黒の瞳こそ変わらないが大きな瞳は元のたれ目に戻っている。
「はい、ショウ君の出来上がりー」
「それ、魔法?」
こんな魔法あったら犯罪なんて簡単。
「まあね。でも、___もう僕しかできないよ」
「えっ」
私のたくさんの疑問をひとつ表したそれにショウは、私のベットに腰かけた。微笑んで隣をぽんぽんとたたく彼は、きっとそこに私も座れと言ってるんだろう。
「………」
仕方なしに座るもさっきまでの雰囲気の違いに戸惑っていた。
“もう僕しかできない”
うつむくとお互いスカートがよく見える。
「聞かないの?」
「何を聞けばいいの?」
「それもそうだね」
こんなに静かなショウはショウじゃない。
王座がどうのって言ってた時とも違う。
ただ、静かな燻るような感情を私は感じた。
「僕の話聞いてよ」



