緋女 ~前編~




私がため息をついているうちにまた外から声がした。


『レヴィ、いるんでしょー?早く開けてよー』




「………しつこい」

ガチャ

とりあえずドアを開けてあげてから、そうしたことを後悔する。




「_____どちら様でしょう」



「ショウちゃんだぞー」



「すみません。貴方のような方は知りません。お帰りください」

「そんなこと言わないのー」

「いや、どう見ても女装の域を超えてるでしょ」

目の前には可愛いこの学校の制服を着た漆黒の瞳の少女がいた。

ツインテールは可愛いシュシュでとめられ、制服のリボンはバッチもろもろでデコられている。

少し内股で立ち、手は口に持ってきて綺麗に整えられた爪を見せながら、驚いた表情をつくる大きな瞳。


この子は完全に女の子だ。




ただし、しゃべり方はさっきまで一緒にいた少年そのもの。

「女装じゃないもーん」

「だったらなんなのっ。……まあ、いいわ。目立つからとりあえず入って」


周りにいた人がチラチラとこちらを見ているのに気がついて、私はあわてて正体不明の人物を乱暴に招き入れる。


「で、こんなバッチりの変装してどうしたの?」

「つれないなー」

不服そうにそう言うショウ。



「でもレヴィ。変装とはねーちょっと違うんだなー、これが」

相変わらず間延びした声。

なんだか心底どうでもいい気がしてくるが、早く消えてもらいたいのも事実なので聞いてあげる。


「どういうこと?」



「そうだなー。……じゃあ、今から完全なシュティ・レヴィアに変身してあげるよ」


「は?」


私は呆れてものも言えなかった。