私がため息をついているうちにまた外から声がした。
『レヴィ、いるんでしょー?早く開けてよー』
「………しつこい」
ガチャ
とりあえずドアを開けてあげてから、そうしたことを後悔する。
「_____どちら様でしょう」
「ショウちゃんだぞー」
「すみません。貴方のような方は知りません。お帰りください」
「そんなこと言わないのー」
「いや、どう見ても女装の域を超えてるでしょ」
目の前には可愛いこの学校の制服を着た漆黒の瞳の少女がいた。
ツインテールは可愛いシュシュでとめられ、制服のリボンはバッチもろもろでデコられている。
少し内股で立ち、手は口に持ってきて綺麗に整えられた爪を見せながら、驚いた表情をつくる大きな瞳。
この子は完全に女の子だ。
ただし、しゃべり方はさっきまで一緒にいた少年そのもの。
「女装じゃないもーん」
「だったらなんなのっ。……まあ、いいわ。目立つからとりあえず入って」
周りにいた人がチラチラとこちらを見ているのに気がついて、私はあわてて正体不明の人物を乱暴に招き入れる。
「で、こんなバッチりの変装してどうしたの?」
「つれないなー」
不服そうにそう言うショウ。
「でもレヴィ。変装とはねーちょっと違うんだなー、これが」
相変わらず間延びした声。
なんだか心底どうでもいい気がしてくるが、早く消えてもらいたいのも事実なので聞いてあげる。
「どういうこと?」
「そうだなー。……じゃあ、今から完全なシュティ・レヴィアに変身してあげるよ」
「は?」
私は呆れてものも言えなかった。



