意識が浮上した時、辺りは暗かった。
夜かと思って、それから首を横に振った。ここは地下だ。
しかも、閉鎖的な何もないレン先生の教室は窓もない。あるのはどこから射し込んでいるのか分からない、明かりだけ。
時間は分からない。
仕方なしに起き上がろうとすると、和らいでいたはずの頭痛が少しした。
でもまあ、さっきよりはましだ。
目をこすりつつ、目を開けると肩を震わせてこちらを見る人影が目に入る。
「……なに笑ってんの」
ばつが悪いので、なんとなくそう言ってしまった。だけど、私の始めに言う言葉はそれじゃない。
私は強いどころか、戦わないうちになぜか倒れてしまった病弱な奴だ。
そんなこと、一度もなかったのに。
「すみません。迷惑をおかけしました」
素直にそう謝ると、この空間にこらえきれないとでも言うように笑いが溢れた。
「確かにこれは………そうだね。だからか」
ショウが笑いながら何度も頷く。
私は何も面白くない。
レン先生まで笑ってるし。
「だからって?」
「レヴィはもしかして本当に自分がヒメリアだと思ってる?」
答えにつまった。
そんなことは思ってない。本当の私は名無し。
シュティ・レヴィアも誰かから借りた名前。
ヒメリアはケイがシュティ・レヴィアに送った名前。
私の名前はあちらの世界に置いてきた。
「私は__」
答えのない答え。
いつだったかもそんなことあった。
ケイが私をシュティ・レヴィアだと言い張った時だ。あのとき、確かケイが怒って……。
怒って__?



