「隊服…?」



「これは新選組の隊服だ。街を見回る時はみんな着ている」




土方さんは独特な模様のついた浅葱色の羽織に触れる。




新選組の全員がこれを持っているということ?




この人が『あの人』ってわけではないということ?




思考が停止しそうになる。



でも間違いない。




この着物なんだ。



しかし彼に対する怒りは無くなっていった。




「あった。これだ」




彼は私に紺色の着物を差し出した。




「男物で悪いな。その服よりはましだろう」




「ありがとうございます」




私は土方さんが後ろを向いてくれている間に着物を着替えた。



…あれ?



着物を脱いだ瞬間に、私はあることに気がついた。




首にかけていたお守りが、ない。




嘘でしょ?




自分の家を出た時は、確かに首にかかっていた。



だって、ちゃんと確認したもん。



いつもならお守りを無くしたなんてなったらもっと焦るはずなのに、そんな気持ちになれない。



『隊服』を見つけたから、もっとずっと大きな気持ちが私の心を支配していたんだ。






「終わったか?ではついてこい。飯だ」