浅葱色の妖


彼は蚊の鳴くようなか細い声で「すみません…」とつぶやいた。





「けれど、私が帰らなければ…」




「『局を脱するを許さず』。知っているな」




弱々しく反論するその言葉をさえぎって容赦のない言葉が降る。




「はい…」




「いかなる理由があろうと許されない。屯所へ戻れ」




ゆっくりと立ち上がり歩いてきた方向へ戻っていく男を土方さんは何も言わずに見ていた。




「お前も何やってんだか知らねぇが戻んぞ、葵」





「えっ」




私?




私の存在にやっぱり気が付いていたのか。




「だけど、どうして私まで帰らなくちゃいけないんですか」




もう少しで新選組の謎について聞けるんだからまだ帰りたくない。