え?
知ってたらいけない事なの?
「まあ、みんな噂している事だもんな…」
近藤さんはブツブツと呟く。
「何か知ってたら、教えて欲しいんですけど…」
なんだか後ろめたい気持ちになって、声も自然と小さくなってしまった。
「……いや、知らないな。すまない、葵ちゃん」
少しの沈黙の後、彼はそう言った。
知らない?
『どこでそれを?』なんて、知っている人が言う台詞。
それを、知らないなんて、どういうこと?
何でそんな見え透いた嘘をつく必要があるの?
「悪いな、葵ちゃん。そんなに面白い話でもないと思うぞ。俺はこれから仕事だから、じゃあな」
近藤さんは逃げるように廊下の先の自分の部屋は帰っていった。
仕事だなんて、今までここで寝ていた人が何を言うんだか。
それに、今、さりげなく調べないように誘導された気もする。
面白い話でもないと言われたら、普通は調べるのをやめたくなってしまうかもしれない。
だけど、そんな風に隠すなんてやっぱりおかしい。
きっと何か裏があるに違いない。
藤堂さんにも隠されてしまうかもしれないけど、聞いて見るだけ聞いてみよう。
聞いてみなければわからない。

