浅葱色の妖





お春さんに書いてもらった地図を見ながら近藤さんと藤堂さんを探す。



簡潔だけどわかりやすい地図だ。



もう土方さんや色黒のあの人を怒らせることもなく歩き回れる。



それにしても、二人ともどこにもいない。



「何やってんだ、お前」



気付けば、土方さんの部屋の前に戻って来ていた。



「挨拶しに行ったんじゃないのか?」



「お春さんに今日は屯所の中でも散歩しててって言われたので。あ、近藤さんか藤堂さんがどこにいるか知ってます?」



「知らねえ。いつも遊郭にいるし、今日もいるんじゃないか?」



「ゆ、」



遊郭!?



軽そうな藤堂さんは置いといて、近藤さんも!?



それに、こんな昼間から遊郭に行くなんて。



「そんな驚くことか?俺たちゃいつ死ぬかわかんねぇんだ。いつだって楽しんでたいって思うのが普通だろ」



普通じゃないんですけど!



楽しんでたいって気持ちはわかるけど、それで昼間から遊郭かよ!



「土方さんは行かないんですか?」



「別に、そんなに行かなくたって女は逃げねえし」



女に人気があるから言えるような言葉だよなあ。



少し関心してしまったけど、そんなことしている場合じゃない。



謎が気になるし、遊郭へ行ってでもあの二人のどちらかに聞いてみよう。



「ありがとうございました」



私はお春さんの地図を手に、玄関へ向かった。








長い廊下を歩いていると、庭の方を向いている大きな背中があった。



近付いてみると、顔を伏せていて、覗き込むと彼は眠っていた。



その幸せそうな寝顔。



この顔は、近藤さんだ。



土方さんは遊郭に行っているとか言っていたけど、全然そんなことないじゃない。



日向が当たって暖かい場所だ。



こんなところでひなたぼっこしていたら、眠くなるのも無理ないかも。



「近藤さん、ちょっと聞きたいことがあるんですが…」



私は肩を叩いて小さな声で言った。