他にも、お春さんは新選組は一番隊から十番隊まで分けられていることや、そのそれぞれの隊の隊長を教えてくれた。
その中に藤堂さんの名前があって、私は驚いた。
私が出会った人はみんな何らかの役職を持っていたらしかった。
あの色黒の男はわからないけれど。
まず、名前もわからないのだから仕方ない。
「それで、これが一番重要なんやけど…」
お春さんは少し声の大きさを下げた。
「新選組には、謎があるらしいんや」
「謎…?」
「残念ながら、私は隊士やないからひとつも知らへんのやけど、隊士の人たちが話してるのを聞いたねん」
それを知ったら、何かわかるのかもしれない。
あの日と関わっているのか関わっていないのか。
どっちにしろ、調べてみるしかないだろう。
手がかりをつかめるかもしれないし。
「誰ならわかるんでしょうね〜」
何の気なしに呟くと、うーんとお春さんは考えてくれた。
「ほとんどの隊士がひとつくらいは知ってるやろなぁ。幹部の人なら全部わかるかもしれへんけど」
幹部って言うのは、何番隊とかの隊長や、局長の近藤さん、副長の土方さんとかだろう。
幹部の人に聞いてみるか。
土方さんに聞くのは危険な気がするから、近藤さんか八番隊の隊長だと言う藤堂さんに聞いてみよう。
「あの、ありがとうございます、お春さん!」
私が頭を下げると、お春さんは笑った。
「そんな大袈裟な。ただ必要なことを言っただけやで」
お春さんからすればそうかもしれない。
でも私にとったら、『あの人』を見つける手がかりになることだ。
感謝しかない。
「何でもします!仕事はなんですか?」
「そんなに張り切らんでええよ。今日は葵ちゃんも初めてここへ来たんやし、気楽に屯所の中でも散歩しててええで」

