「じゃあ、誰かをぎっ…犠牲にするっていう方法に…さ、賛成の人は…いますか……?」
手を挙げたのは、…何となく予想はついていたけれど、大地君。
なんで…どうして、自分一人のことしか考えられないんだろう?
心の中で軽くため息をついた。
ほかに手を挙げたがいないことに一瞬驚いていたけれど、また不機嫌そうな顔に戻った。
「いい子ぶりやがって。……あ、いや俺以外みんな死んでもいいってことだよな?」
ニヤニヤしながらそう言う。
だけど、何か言葉を紡ぐ前に、かえでさんが困った顔で大地君に語りかける。
「あのさ、誰か死ねって言いたいなら、まずは自分がそう死んでも良くなったらいいなよ」
それを聞いた大地君は何か言おうとしたけど、言葉が見つからなかったらしくグッと言葉に詰まった。
顔は真っ赤になっていて、怒りや悔しさから握りしめた手がブルブルと震えている。
すると、床に座っていた大地君が立ち上がって、部屋を出た。
「付き合ってらんねぇ」


