「知らない。私、確かに昨日ベッドで寝たはずなのにね。…起こすの手伝って」


 そっけなく答えた女の子に促されて、「はい」と答えてとりあえず男子を起こしていった。


 ザット観察して言ったけれど、特に何か共通点のありそうな感じではないけれど、年齢は同じくらいかな、とは思う。



 みんな瞼を重そうに眼を開けていたけれど、ここがどこかわからないと分かると、すぐさま顔つきが変わった。


 会ったことも、話したこともない人たちといるとなると、何となく空気が重い。


 鉛のような空気を裂くように、一番最初に起きていた女の子が話を切り出した。



「誰か、この状況になった理由を知ってる人いない?」


「あぁ?知るわけねーだろ!クソ、誰だよこんなところにいきなり連れてきたのは!!ぶん殴ってやる!!」


 背がそこそこ高くて、目つきの悪そうな男の子が、バンッとテーブルを叩く。その反動で、一番体の小さな、優しそうな女の子がビクッと体を震わせた。


 僕は目つきの悪い男の子の手を掴んで、言った。


「まぁまぁ、そんな怒ったって仕方ないですし。リラックスしましょうよ」


 そう言うと、知らない女の子が笑いながら便乗した。


「そうそう!目つき悪いのがさらに悪くなって怖がられちゃうよ?あ、でも1万円ぐらいで眉間のしわできますよ?」