ホワイトキャッスルの話をする前は、ワクワクしていたのに。

バカみたいだ、私。

大きく深呼吸をして胸のモヤモヤを吐き出そうとしたけど、いくらそれを繰り返しても私の胸は苦しいままだった。


***


12月に入ると、日に日に街がクリスマスムードに包まれていく。

それに反比例するかのように下がり続ける私のテンション。

「由宇。誕生日何がほしい?」

そういえば、12月17日は私の27回目の誕生日だ。

翔矢は昨晩作ったカレーを急いで食べながら、チラリと正面に座っている私を見た。

「選ぶ時間ないからさ、何が欲しいか具体的に言ってよ」

食べ終えるなり立ち上がり、食器を流しへと運ぶ。

『選ぶ時間ないから』

……なにそれ。

選ぶ時間ないって、なによその言い方。

翔矢の仕事が凄く忙しいのは分かってる。

総合商社の開発部に籍を置き、帰宅時間が深夜に及ぶのも珍しくないもの。

だけど選ぶ時間がないなんて、そんな言い方ひどい。

「俺企画書の仕上げしたいから寝室行くわ。しばらく一人にして。で、その間に考えといて」

何かが胸の中でカシャンと壊れた。

「……要らない」