俺は思わず抱きしめてしまった。

我慢できなかった。


これ以上彩名の苦しむ顔は見たくなかった。


彩名は思った以上に小柄だった。

俺の腕の中にすっぽり入った彩名はまた我慢していた涙を落とした。


俺は彩名の背中を見つめる。


そして、言うはずのなかった文句を言った。



告白したのは初めてだった。

考えてもいなかった文章が勝手に喉から出てきた。


その言葉は俺の心そのものだった。







彩名の答えは最初からわかってたはずだった。

でも、本人から直接聞くとこんなにもダメージがあるのか?


俺は黙ったままゆっくり手を離した。

やっぱり俺はゆーの代わりになれねぇよ…


彩名が去った後悔しさか悲しさかわからない涙が出てきた。



俺と彩名は似ている。

恋には臆病なやつなんだ。

無理だと思う相手に恋してどうしようもないくらい好きなのに譲ってしまうんだ。

でもよ、彩名を好きになったことを悔やんではない。


むしろ好きになってよかったと思う。

人は恋したら変われるんだ。



俺は、今でも彩名が好きだ。

だからこれからも彩名を見守っていきたい。



~END~