みんなが私に詰め寄るなか、教室の真ん中でひとり座っている人がいた。
楓ちゃんだ。
上履きをはいていない。
机に顔をふせて泣いている。
まさかと思い、床に落ちた上履きをみると、そのまさかだった。
『楓』
その上履きにはそうかかれていた。
「ちがう、私じゃない」
「ああ!私みてたよぉー楓ちゃんの靴箱から上履きとってる彩香さんのことー」
のんびりとそう言うのは、まりちゃんだ。
「昨日の放課後ねーみたの、彩香ちゃんが上履きもってかえるところ」
持ち帰ってなんかいない。
「それでねー楓ちゃんの上履きをとるところもみちゃったのー」
ケラケラ笑うまりちゃんをみて、恐ろしくなった。
楓とあの3人、それからまりちゃんの嘘で私の学校生活が変わってしまったのだ。
「ちがう、本当に…違うのに」
楓ちゃんをみると、ニヤリと笑っていた。
「死ね」
誰かがそう言うと、みんなでいう。
私は耳をふさぐ。
「アハハ、こいつ泣いてるよ」
こんなクラス、いたくない。
嫌だ。
私は走って教室からでた。

