ただ水槽を見る分にはそんなに困らなかったけど、昼食を取るのはとても困難だった。
小さな子を抱えた家族連れがほとんどの席を埋めているフードコート。
たった二人とはいえ空席は見つかりそうもない。
「どうする?」
さすがに若村君も困って、そう聞いてきた。
「ここの隣って海だよね?ホットドッグでもテイクアウトしてそこで食べようか?・・・多分、暑いとは思うけど」
「俺はそれがいいと思う。藤嶋さんは暑いのは嫌?」
「嫌だけど、海は見たいな」
他に選びようもなく海に面したデッキに出たのだけど、とても運がいいことに建物で日陰になったベンチが空いていた。
多分、暑いからほとんどの人は敬遠したのだろう。
気温はとても高いのに、日陰にいると海からの風もあって思ったよりもずっと過ごしやすかった。