「?」


後ろから声がした気がして振り返る。



「こんばんはー。引っ越してきた人ですか~?」


髪が腰くらいまである、小さい女の子。

パーカーにミニスカ、スパッツといった、
動きやすそうな格好をしてる。



「…………て……………え?」


その子は俺の顔を見て一瞬、表情を失う。


『目を見開いた』とかじゃなくて、
『表情を失う』の方が正しい表現だと思う。



「……何?」


俺が言うと。


「……え、あっ、あははー!ごめんごめんー!後ろにハクビシン見た気がして!」


「ハクビシン?」


女の子は笑いながら


「そうそう!狸に似た動物!」

「…ふーん」


俺が向き直ると。


「君、明日から◯◯高校に転校してくる子でしょ?」

「…そうだけど」


女の子はにやっ、と笑って。


「じゃあ、私と同じクラスだ!
今日うちのクラス、新しく椅子と机を増やしたんだよね!」


「へぇー。偶然だね」