「わん!」 「貴也ぁー」 「無理!」 「ゥワンッ!」 「貴也ぁあー」 「やだって!」 わーわー言ってくる犬と結灯。 「……だから」 と、結灯に文句を言おうとしたところで。 「ッくしゅっ!」 結灯がくしゃみをした。 「ううっ、寒いぃ~。 でも、この子もびしょ濡れだし、風邪引いちゃうよね。 私なんかより、この子の飼い主を探しにいかないと… はっ……くしゅっ」 結灯は顔が真っ青になっている。 「……………」 「ああ、はやく飼い主を見つけないと…… ああ、寒い。私このまま、死ぬのかしら……」