夜10時。


蛍太郎を連れて、家を出た。



蛍太郎はきっと、結灯がいなくなったことを、理解してる。


考えなんて分からないけど、

いつもと違って、ゆったりと大人しく歩くのを見て、何となくそう思った。





「………ん?」


蛍太郎がかゆそうに、首輪の辺りを足でかくのを見て、気付く。



首と首輪の間に、何か挟まってる。



よく見ると、挟まってるんじゃなくて、
首輪の内側に貼られていた。



「……なんだよ、これ?」




ペリッ、と簡単に剥げた紙。



開いて、『あっ』と思った。