「結灯」


「なに?」


夜の病室。

俺は、ベッドに座る結灯の横で座っていた。



結灯は、痩せた。

見てわかるほどに。



食べる量が、目に見えて減っていた。



「お前、ちゃんと食べろよ」

「わかってるくせに」


結灯はふくれて見せる。


そして、真面目な顔になって。


「貴也」

「ん?」


返事をすると、俺の手を掴む。



「ちゃんと、見ててね。……………私を。

どんな姿になっても」


「………うん」


そう言うと、結灯はにこっ、て笑う。


「私、ちゃんと最後まで全力で生きるから」


結灯は、ちゃんと俺と向き合ってくれてる。


そう思って、俺もさらに気を引き締めた。





「あーーーっ!」


ビクッ!



俺と結灯はサッ、と手を離す。



「ゆうちゃん、大丈夫?!

こいつになんかされてない?!」


灯理が俺と結灯の間に入ってきて、
俺を威嚇するように睨む。


「………してねえし」



「灯理!」

「ゆうちゃん!」


ため息をつく俺の横で、楽しそうに抱き合う姉弟を見て、笑いがこぼれた。