「……ったく」 俺が靴を脱いで廊下を行こうとすると。 「……貴也」 母さんは、さっきとは打って変わって、 静かな声で話す。 「……なに?」 「……ちょっとでも困ったことあったら、 ちゃんと母さんに言ってね」 「……ん」 母さんは顔をあげて笑顔になる。 「さ!夕飯夕飯!近所のおばあちゃんにキャベツもらったのよ! コールスローサラダにしたから!」