そして、俺は気付いていなかった。 結灯が後ろで組んでいた手の中には 大量の血が付いていたこと。 結灯は、荒い息を押し殺していたこと。 無理をして笑っていたこと。 『俺、嘘吐くような奴は、 好きじゃないから』 俺がそう言ったとき。 結灯が一瞬だけ、 傷ついた顔をしたこと。